匿名組合とは、当事者の一方（匿名組合員）が相手方（営業者）の営業のために出資をなし、その営業より生じる利益の分配を受けることを約束する契約形態をいう（商法535条）。 つまり、営業者が匿名組合員から集めた財産を運用して事業を行い、利益がある場合はこれを分配するのが匿名組合契約である。 組合という名称にも関わらず匿名組合は団体ではなく、法的には営業者の単独企業である。 よって匿名組合員の出資は営業者の財産になり（商法536条1項）、匿名組合員は営業者の行為について第三者に対して権利義務を有しない（同条2項）。 こうしたことから、匿名組合員は営業者の行為に関する権利義務関係の名宛人とならず、一般には営業者の名称にもその名前が顕れないので、「匿名」と呼ばれている。 また、匿名組合契約に基づく損益は、匿名組合契約に定める分配率に基づいて匿名組合員に分配することが出来る。 匿名組合員より営業者への現金の交付は、預託金（会社から見て債務）ではなく、あくまで出資金であるので営業者にとって出資金の返還義務が生じない。（ゴルフ倶楽部成田ハイツリーにおいては、会則にこの旨明記されている。） 【1】 営業者と匿名組合員との個々の匿名組合契約に基づき、当然に営業者の財務請表の開示を要求できるため（商法539条1項）、営業者の経営の独走を阻止できる。 【2】 匿名組合員は、匿名組合契約に定める一定割合の利益（損失）を享受できる。 【1】 (株)ゴルフ倶楽部成田ハイツリー（会社）は、匿名組合契約に基づいて匿名組合員から出資された資金をもって、ゴルフ倶楽部成田ハイツリーを運営する営業者である。 【2】 匿名組合員（出資会員）は、民法上の組合契約に基づいて会員組合を構成する。 【3】 匿名組合員で構成される会員組合が会社の全株式を保有している。 【4】 会員組合内部に、会社運営の最高意思決定機関として理事会を設置する。理事会を構成する理事は、会員組合の総会において匿名組合員（出資会員）から選任される。 【5】 会社は、理事会の意思決定に基づくゴルフ場運営の業務執行の責任者として取締役1名を置く。なお、監査役は設置しない。 【6】 会社の税引前利益（又は、損失）の10％は、匿名組合員に帰属する。 【7】 匿名組合員（出資会員）及びプレー権会員は、会社の制定する会則に基づいて、会社が所有するゴルフ場でのプレー権が付与される。 （注）プレー権会員とは、会社が和議申請時点において会員であった者で匿名組合出資を行なわずプレーの続行のみを希望した者である。

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